私の住んでいる地域には、まだ幾つもの踏み切りがあります。

 

時間帯によっては、なかなか開かない所もあります。

 

右に列車が通ると、左矢印がつき、

そして、また右が…いういう具合です。

 

やっと開いたと思うと、溜まっていた、歩行者と車、

 

そして自転車が、あちらからも、こちらからも、なだれ込むことになります。

 

駅のホームには、次々とホームドアが設置され、

安全が当たり前となった、この時代に、

これでいいのかしら??と不安になります。

 

まぁ、危ない踏み切りは、だんだん減って欲しいものです。

 

 

その朝、私は、脳神経内科に予約があったので、

いつもの踏み切りを、渡っていました。

 

「小学生になったら、昼寝はしないのよ」

 

「やったー!」

 

その会話は、前後に子供を乗せた自転車からでした。

 

「だから、保育園でも、もうすぐ昼寝はなくなるのよ」

 

は、はーん。

 

さては、入学して、昼過ぎに眠くならないように、今から練習するんだな…?

なかなか、いい保育園じゃん…。

 

…と思ったその時、

 

自転車の後ろの席の女の子が、 「大丈夫?」と、 お母さんの腰を、力強くおさえたのです。

 

踏み切り内の危険な緊張感を感じて、

お母さんがフラつかないよに、気を利かせて懸命に支えているのです。

 

心の中で叫びました。

 

きゃ〜!可愛い〜〜〜っ!!

 

もうすぐ一年生だもんね!

お母さんを、手伝っているのね!

 

もちろん、物理学的には、1mgも役にたっていません。

 

だって、お母さんの自転車の後ろに乗っちゃってますから。

 

でも、いいのです!

 

その調子です!

 

やがて、貴方は、必ず頼れる大人になるでしょう!!

 

お母さんは、しっかりと前を向いています。

 

周りの人は、誰も気にしていません。

 

ごちゃごちゃとした、踏み切り内で、 私だけが、目撃した小さな頑張りでした。

 

そして、なぜだか、自分の家族にも感謝の気持ちが沸いてきます。

 

「さぁ、私も、よそ見はしてられないわ。

 

踏み切りは、安全に気をつけて渡りましょう♪」

 

その日は、少し幸せな気持ちで、病院に向かいました。

 

 

*ともみ*

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