診断早期からの集中的な運動の効果
2022.09.22 更新
本日の研究論文はこちら!
早期PDに運動を加えるとLED(レボドパ合剤換算量)は抑制される
Intensive Rehabilitation Treatment in Early Parkinson’s Disease:A Randomized Pilot Study With a 2-Year Follow-up
です。
元論文はこちら
↓↓
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25038064/
対象はRasagiline100mg服用のPD患者を対象に介入の比較試験を行なっています。
比較されたのは
MIRT群(multidisciplinary Intensive Rehabilitation) 16名
コントロール群15名
MIRT群の介入(1時間×3セッション/日×5日間/週)→2年間で2回介入(1年に1回)
→セッション1:ストレッチ、筋トレ、バランス。セッション2:運動(トレッドミル、エアロバイク)。セッション3:OT(上肢運動、作業)
です。
この2群間で2年間半年に1回の評価を行なっています。
評価内容は
UPDRS-partⅡ、partⅢ、TUGm6分間歩行テスト、PD Disability scale、L-dopa換算量をベースライン(T0)、6ヶ月(T1)、1年(T2)、18ヶ月(T3)、2年(T4)で評価されました。
介入としては
MIRT群(1時間×3セッション/日×5日間/週)は1年に一回4週間の介入を行なっています。
※論文の結果をもとに執筆者が表を作成
結果はUPDRS-partⅢはMIRT群とcontrol群では数値は2年後も維持されていました。
L-dopa換算量に関しては、control群(介入していない人たち)は100mgから300mg以上増えているのに対して、1年に1回の集中的な運動をおこなった群は100mgから150mg以下と服薬量はあまり増えていません。
それにもかかわらず、UPDRS-partⅢが維持されていたということは、運動の効果があったということだと解釈されます。control群は薬の量が増えているがためにUPDRS-partⅢが維持されていました。
今回の研究は1年に1回の集中的(週5日、4週間)のトレーニングを行うことで、2年後の薬の量と運動機能が保たれていたという結果でした。
PD Cafeでも、これらの結果から集中的な介入を実施しています。
週1回や2週に1回などの頻度ではなく、週3日以上を1ヶ月以上行えるととても良い印象を得ます。実際に、PDQ-39や転倒恐怖心などの評価をしても、集中的に介入した方は良い結果を示しています。
負荷量を考えるのはとても大事ですが、介入頻度と期間も考える必要はとてもありそうです。
年に1回集中的に運動を行う時があってもよさそうですね♪
「根治療法が確立されるまで動ける体つくり」を目指して。
パーキンソン病の方へリハビリテーションを提供しているセラピストや実際に運動をしている方の参考になれば嬉しいです♪
PD Cafe
小川順也
PD Cafeとは?
2013年より開始したパーキンソン病の方の運動継続プログラムです。
パーキンソン病を専門とし、国家資格である理学療法士を保有したスタッフがパーキンソン病の方へ運動をお伝えしています。
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執筆者
小川順也
理学療法士/LSVT BIG認定療法士
2011年〜2015年 国立精神・神経医療研究センター病院勤務
2017年〜株式会社Smile Space代表取締役就任
2022年は
パーキンソン病・運動障害疾患コングレスのPDナース・メディカルスタッフ研修会にてパーキンソン病のリハビリテーションというテーマで医療従事者へ向け講演を実施。その他多数の講演にてパーキンソン病のリハビリテーションを啓発している。
著書:パーキンソン病と診断されたら最初に読む運動の本(日東書院)
共著:パーキンソン病の医学的リハビリテーション、神経難病100の叡智
投稿:百年人生におけるパーキンソン病治療の展望 第四刊 「診断早期からの運動継続プログラムで根治療法が確立されるまで動ける体作り」